木曜映画サイト キングダム雑感
私は漫画「キングダム」を読んだことがない。
評判が良く、売れていて、有名な賞をもらったことは知っている。だが最近本棚が書籍と漫画で溢れているので新しい長い漫画に手を付ける気にならないでいる。
つまりこの映画の感想は原作漫画を全く読んでいない人のものである。だから、原作との忠実度とか再現性とか乖離がどうのという話はない。
原作を全く読まずになぜこの映画を観たかと言えば、サッカーを見るついでに映画を観ようとしたらちょうどいい時間にやっていた、というのが第一だった。封切り前の評判が良かったというのが第二だ。
秦の始皇帝については興味があったから、史実との違いには興味があった。映画序盤で成蟜の謀反により嬴政が咸陽から逃げる、という話があった。史実ではこんな話は無かった。後で調べたことだが、成蟜の謀反は史実にあるものの失敗に終わったようである。
史実を基にしたフィクションではなく、史実から離れたフィクションらしい。もちろん面白ければ自分にはどちらでも良い。ただ、嬴政は咸陽に入るまでの話が面白い、というか余りに悲惨で、その時期の映像がないのは残念に思えた。
キングダムと史実との距離感はグラディエイターとローマ史みたいのものかな、とも思った。映画「グラディエイター」は古代ローマが舞台だが、史実に合っていることを探すほうが難しい。
ところで王騎が昌文君の領地を所望した話、王翦と李信の間に似たような逸話があった気がする。作者は史実をよく知っていて、それをフィクションにする時に縦横に取捨選択をしている、という気がした。
次に物語構造について。
咸陽から逃げた一行(パーティー)は、王者(嬴政)、道化(信)、魔法使い(河了貂)からなる。兵士がいないと思ったら途中から昌文君が加わった。
また、貴種流離譚でもある。つまりキングダムは、古くからある正統的な物語構造をとっている。
なお、倉本聰が「尊敬できる人間を持ってる人間が光るんです。尊敬される人間は別に光らない」「高倉健さんの映画は必ず上に人がいることで成立している」と語っている(朝日新聞より)。キングダムでは王騎が信の上にいる人として存在し、そのために信が光るという構図がある。
それでは各登場人物と演者に関する感想。
信 - 山崎賢人
この企画は山崎賢人ありきだったということで批判されていた。
個人的にはキャストを決めるのがプロデューサーだろうが監督だろうがどうでもよくて映画が面白ければよいのである。そして映画は面白かった。
ただ、山崎演じる信は馬鹿っぽくて、最後までとても大将軍どころか小将軍も無理だろう、という感じだった。それは続編以降で何かしらの成長譚があるのだろう。
嬴政 - 吉沢亮
嬴政の吉沢と漂の吉沢が別人に見えた。衣装や化粧の差もあるのだろうが、大した俳優である。
河了貂 - 橋本環奈
環奈ちゃんは何を着ても可愛い。
こういう可愛い子は困ったもので、演技力がさっぱりわからなくなってしまう。もっともスターというのは、演技力とは違う所に存在しているものだ。
成蟜 - 本郷奏多
典型的な悪役をわかりやすく演じていた。
楊端和 - 長澤まさみ
たまたま最近、「世界の中心で、愛をさけぶ」を見た。あの映画は2004年だから15年経っている。当時の長澤まさみは彗星のように現れたスター女優だった。
15年後の今も美しい。
彼女があの殺陣を身に付け実行するのは大変だっただろう。その努力に敬意を表する。
王騎 - 大沢たかお
その「世界の中心で、愛をさけぶ」に大沢たかおも出ていた。結婚を控えて過去の悲恋に拘泥する役を演じていた。簡単に言えば、うじうじぐずぐずのイケメン役だ。
その大沢たかおが、いつの間にこんな怪優になったのか。
この映画はキングダムの1~5巻に当たるという。現在キングダムは54巻まで出ている。この映画をあと10回ぐらいやるということだろうか。漫画はまだ未完というから、映画が寅さん化するかもしれない。
もっとも日本映画としては結構金をかけたようだから、一度こけて経費を回収できなかったらそこで終了するかもしれない。ただ今作は面白かったから、人の問題がなければ少なくとも次回作はあるだろう。人の問題とは? 例えば重要な登場人物が逮捕されたとか。
映画に哲学も涙もいらない。とにかく二時間、夢中で見られて楽しければいい、そうした映画である。
その点では成功している。そうした映画を求める人に強くお勧めする。
評判が良く、売れていて、有名な賞をもらったことは知っている。だが最近本棚が書籍と漫画で溢れているので新しい長い漫画に手を付ける気にならないでいる。
つまりこの映画の感想は原作漫画を全く読んでいない人のものである。だから、原作との忠実度とか再現性とか乖離がどうのという話はない。
原作を全く読まずになぜこの映画を観たかと言えば、サッカーを見るついでに映画を観ようとしたらちょうどいい時間にやっていた、というのが第一だった。封切り前の評判が良かったというのが第二だ。
秦の始皇帝については興味があったから、史実との違いには興味があった。映画序盤で成蟜の謀反により嬴政が咸陽から逃げる、という話があった。史実ではこんな話は無かった。後で調べたことだが、成蟜の謀反は史実にあるものの失敗に終わったようである。
史実を基にしたフィクションではなく、史実から離れたフィクションらしい。もちろん面白ければ自分にはどちらでも良い。ただ、嬴政は咸陽に入るまでの話が面白い、というか余りに悲惨で、その時期の映像がないのは残念に思えた。
キングダムと史実との距離感はグラディエイターとローマ史みたいのものかな、とも思った。映画「グラディエイター」は古代ローマが舞台だが、史実に合っていることを探すほうが難しい。
ところで王騎が昌文君の領地を所望した話、王翦と李信の間に似たような逸話があった気がする。作者は史実をよく知っていて、それをフィクションにする時に縦横に取捨選択をしている、という気がした。
次に物語構造について。
咸陽から逃げた一行(パーティー)は、王者(嬴政)、道化(信)、魔法使い(河了貂)からなる。兵士がいないと思ったら途中から昌文君が加わった。
また、貴種流離譚でもある。つまりキングダムは、古くからある正統的な物語構造をとっている。
なお、倉本聰が「尊敬できる人間を持ってる人間が光るんです。尊敬される人間は別に光らない」「高倉健さんの映画は必ず上に人がいることで成立している」と語っている(朝日新聞より)。キングダムでは王騎が信の上にいる人として存在し、そのために信が光るという構図がある。
それでは各登場人物と演者に関する感想。
信 - 山崎賢人
この企画は山崎賢人ありきだったということで批判されていた。
個人的にはキャストを決めるのがプロデューサーだろうが監督だろうがどうでもよくて映画が面白ければよいのである。そして映画は面白かった。
ただ、山崎演じる信は馬鹿っぽくて、最後までとても大将軍どころか小将軍も無理だろう、という感じだった。それは続編以降で何かしらの成長譚があるのだろう。
嬴政 - 吉沢亮
嬴政の吉沢と漂の吉沢が別人に見えた。衣装や化粧の差もあるのだろうが、大した俳優である。
河了貂 - 橋本環奈
環奈ちゃんは何を着ても可愛い。
こういう可愛い子は困ったもので、演技力がさっぱりわからなくなってしまう。もっともスターというのは、演技力とは違う所に存在しているものだ。
成蟜 - 本郷奏多
典型的な悪役をわかりやすく演じていた。
楊端和 - 長澤まさみ
たまたま最近、「世界の中心で、愛をさけぶ」を見た。あの映画は2004年だから15年経っている。当時の長澤まさみは彗星のように現れたスター女優だった。
15年後の今も美しい。
彼女があの殺陣を身に付け実行するのは大変だっただろう。その努力に敬意を表する。
王騎 - 大沢たかお
その「世界の中心で、愛をさけぶ」に大沢たかおも出ていた。結婚を控えて過去の悲恋に拘泥する役を演じていた。簡単に言えば、うじうじぐずぐずのイケメン役だ。
その大沢たかおが、いつの間にこんな怪優になったのか。
この映画はキングダムの1~5巻に当たるという。現在キングダムは54巻まで出ている。この映画をあと10回ぐらいやるということだろうか。漫画はまだ未完というから、映画が寅さん化するかもしれない。
もっとも日本映画としては結構金をかけたようだから、一度こけて経費を回収できなかったらそこで終了するかもしれない。ただ今作は面白かったから、人の問題がなければ少なくとも次回作はあるだろう。人の問題とは? 例えば重要な登場人物が逮捕されたとか。
映画に哲学も涙もいらない。とにかく二時間、夢中で見られて楽しければいい、そうした映画である。
その点では成功している。そうした映画を求める人に強くお勧めする。
この記事へのコメント
続編もぜひ見たいですね!