次期日本代表監督について

 日本サッカー協会から森保氏に対して次期代表監督のオファーがなされ、それに対して森保氏は受諾するであろうという報道がなされている。まだ何も決まっていない。だがそうなるのだろう、と私もそう感じている。
 そうなるだろうなという予想は予想として、自分の希望を書いておきたい。
 次期監督は森保氏でないほうがよいと思う。

 なお、私はW杯で手の平を返した者である。森保氏の能力を認めないと言っているのではない。
 オリンピックで4位になった時に、この監督は戦術の引き出しが少ないと思った。目標のベスト8など、最終予選の初戦オマーン戦で敗れた時から、有り得ないと思っていた。W杯前、私のグループリーグの予想は1分2敗だった。
 それがドイツに勝ってスペインに勝った。目標のベスト8に達してはいないが、この二つの勝利は監督の戦術の結果でもある。彼を認めざるを得ない。
 もちろん異論はあるだろう。どこらあたりから異論が生ずるかと言えば、今の日本サッカーがどの程度のものかどの程度で有り得るか、との認識からだと思う。日本がW杯で優勝してしかるべき実力がある、と本気で思っているのならベスト16での敗退は唾棄すべきものだ。
 だが、日本人のサッカー日本代表への期待値はそもそも低い。ドイツやスペインに勝てるわけが無いと思い込むほどに低い。今回、決勝トーナメントのPK戦で3つの代表が敗れたが、あんな情けないPK戦を見せられながら「感動をありがとう」などと言っているのは日本だけだ。
 だがその期待値を乗り越えたのだから、私は手の平を返した。結果を見てそれでも森保氏を批判し続ける人を私は否定はしない。しかし、私とは相容れない。森保氏は私の期待以上の結果を示したからだ。

 それでも次期監督に森保氏を私が推さないのは、まず第一に、代表監督は長い期間やるものではないからだ。氏の戦術もいずれは対策される。ドイツ戦で相手を混乱させたミシャ式3-2-5にしてもいずれ対応される。次の成功は保証されない。
 第二にモチベーションだ。森保監督は優れたモチベーターだったようだが、これもいずれ選手に飽きられる。同じ檄を続けていたら、新鮮味がなくなるのは自明の理だ。
 第三に恐れるのは選手の固定だ。例えば佐々木則夫氏はかつて日本女子代表監督を長く務めたが、スタメンが固定化して新しい人材が現れず、結局途中から戦力の上積みがなくなった。森保監督が続けば似たようなことが起きはしないか。

 といって、それなら誰がいいかというと難しいだろう。森保氏に匹敵する実績をJリーグで残したのは鬼木氏しかいないが、川崎Fの監督を続けることが決まった。
 海外でも日本代表監督の年棒だと誰もが納得するような大物は来ないだろう。

 とは言え、私は森保氏が今回のW杯である程度の成功を収めたからこそ続けて欲しくないのである。
 私は、森保氏には一度海外に出て欲しいと思っている。今回のドイツとスペインを破った実績があれば海外からのオファーは必ずあるだろう。それも中東の代表監督などではなく、出来ればサッカーの中心である欧州で監督をしてほしい。そして見聞を広め経験を高めてから、再び日本の代表監督をやってほしいのだ。それこそ、日本代表がW杯優勝を狙うために。

 それが私の希望である。もちろん現状の報道にある通り、この希望は叶わないであろう。


[追記]これを書いた翌日の12月28日、森保監督の続投が正式発表された。

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