湘南0-1名古屋 攻めあぐねるということ

 試合開始からほどない7分、名古屋のコーナーキック。山中のキックに三國がヘディングで合わせて名古屋先制。長身の三國にボールがピタリと合ってゴールキーパーにはどうしようもなかった。三國によれば最初はマークがついていなかったそうだ。湘南はゾーンで守っていて実際のヘディング時には二人のディフェンダーが体を寄せていた。だが、三國のジャンプは頭一つ抜けていた。寄せるだけでは足りないのだろう。
 12分の名古屋にもチャンス。しかし山岸のシュートはポストに嫌われた。

 この日の名古屋はよくなかった。上記以外に有効な攻撃がほとんどなかった。それはサッカーを90分しているのだから、名古屋にボールを持つ時間もありシュートを打つこともあった。しかし湘南にボールを持たれてゴール前に引き籠っている時間が長かった。ゴール前でクリアしては、また湘南にボールを拾われていた。
 その名古屋を湘南は攻めあぐねた。

 ゴール前に人数をかけて守る相手からどうやって得点を奪うのか。
 俊敏性に優れた選手がディフェンダーとディフェンダーの間をするすると抜けていく。ドルトムントにいた頃の香川だ。
 圧倒的なスピードでディフェンダーを置き去りにしてゴール前にクロスを入れる。伊東だ。
 ドリブルでディフェンダーを剥がしながらカットインしてシュート。三笘だ。
 ボールを出した、と見せて逆を取り、包囲を突破する。久保だ。
 ブロックの人と人の間に入ってボールを受け、ディフェンダーが寄ってきたところでボールを空いたスペースに放して崩す。メッシとシャビとイニエスタがいた頃のバルセロナだ。
 パスを出しては戻させ、無駄なボールの交換をしているようでありながら、その過程でスペースを作ってそこを突く。ヤットがいた頃のG大阪だ。

 いずれも特別な選手とその特別さを理解している周囲から成り立つ攻撃だ。
 湘南にそんな特別な選手はいないのだろう。ゴール前に押し込んでもただボールを回しているだけに見えた。
 しかし、特別になろうとしない限り、特別な選手にはなれないのではないか。
 一人くらい、無茶なドリブルで突っ込んでいく選手はいないのかな、などと思いながら見ていた。

 90分湘南、ようやく小野瀬がバイタルエリアからフリーでシュートを放ったが枠外。
 湘南が攻めあぐねたまま、試合は終わった。

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