柏１－０横浜M 優勝戦線の柏、まだ残留圏の横浜M

　この試合はたまたまローカル放送の仙台-大宮戦直後に放送されていた。
　J1の柏-横浜M戦のほうがJ2の仙台-大宮戦よりもレベルが高いと感じた。柏-横浜M戦のほうが、各選手がボールを受けてからボールを離すまでの時間が短い。それだけ展開がスピーディーだ。トラップ、パスの技術もさることながら、出し手がパスを出せるところに受け手がしっかり顔を出している。つまり戦術理解が上だ。
　仙台も大宮もこのままJ1に上がれば厳しいだろう。横浜MがこのままJ2に落ちたら無双して一年でJ1に復帰するだろう。ただ問題は「このまま」の部分だ。資金潤沢と思われる大宮はJ1に上がれば積極補強をするだろう。横浜MがJ2に落ちたら日産の経営がどうかと喧しいなかでこのレベルが保てるかどうかわからない。さて仙台はもしJ1に上がったら？　大幅赤字が伝えられていたが、仮に上がれてもJ1にふさわしい陣容になるのかどうか。

　放送で早野、狩野解説者と鳥海アナウンサーは盛んに「ポケット」の話をしていた。
　ペナルティエリア内の両脇、ゴールエリアの縦線の延長からペナルティエリアの縦線の間の長方形二か所を「ポケット」と定義していた。このポケットを使った攻撃が柏は得意だというのである。
「ポケット」の定義はそれでいいのかもしれない。だが、ポケットの中でもゴールラインの横線の延長からゴールラインまで、このゴール近傍の両脇にボールを持ち込んだ方がより有効だろうと思う。
　ディフェンダーがボールを持っている選手とゴール前で待ち構えている選手を同時に見ることが出来ない領域を攻略することが、より得点に近づくのである。それにはゴールラインに近いほど良い。
　最近のサッカーはフォワードがディフェンスラインと駆け引きして司令塔がスルーパスを出してフォワードが裏を取って、ということが出来にくくなっている。守備戦術が向上してしまったからだ。この日の解説定義のポケットよりも、より奥側のポケット攻略について語ってほしいと思うのである。

　さて試合。攻守の回数という点では双方互角に見えた。しかし前述のポケット侵入回数という点では柏に分があった。それだけ危険な好機は柏に多かった。
　18分横浜M、右サイドからクルークスのクロス。そこに柏ディフェンダー二人の間に割り込んできた谷村が足で合わせてゴールネットを揺らした。しかしVARの結果、割り込んだ際にファウルがあったということでゴール取り消し。手がかかっていたようだ。
　41分柏、右コーナーキック。ファーサイドで仲間が頭で合わせたシュート。ゴール前にいた小泉が胸に当ててゴールイン。ハンドがあったのではないかとアピールがあったがVARでもハンドなし。柏の得点。インタビューによれば小泉はよけようとしたが胸に当たってしまったということで運も柏に味方した。
　後半も緊張感のある戦いが続いたがそのまま1-0で試合終了。

　柏は3位で優勝戦線に留まった。横浜Mは敗れたが横浜Cも湘南も敗れて17位と残留圏のまま。優勝戦線はこれを書いている最中の鹿島-G大阪戦の結果でだいぶ変わる。だが、残留争いはまだ激しいままである。